夢の漏洩

0
2

映夢館は長蛇の列が出来ていた。
「ママ、この夢もう飽きたよ」「ダメよ。しっかり夢を観ないといい大人になれないから」
そう会話する親子を前に、私は初めて観るその夢に想いを馳せた。
26年に始まったAIによる度重なる情報漏洩の事件は、最終的に全人類の脳から夢を漏洩させた。
自力で夢をみれなくなった人類は、文化的な豊かさを欠いた想像力に乏しい状態に陥った。
事態を重くみた政府は、かつての映画館で夢の配給を実施する事となる。
スクリーンに映し出された夢は老若男女に合わせたありきたりな内容だった。
もっと昔は独創的な夢を観たハズ…

「いい夢みれたか」ハッ目覚めると顔中ピアスだらけのニヤけた顔が映った。左手には点滴の針が刺さり体に悪そうな紫色の液体パックに繋がる。
そうか私は夢を観たくて裏取引される違法睡眠薬を…
夢か現実か分からぬ混乱は懐かしく新鮮だ。そうそう目覚めたと思ったらまだ夢の中だったり…
SF
公開:26/11/06 10:39

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容