割れたクッキー

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割れたクッキー

あるところにクッキー屋さんがありました。
不思議なことに、職人がどう焼いても、クッキーは全部割れてしまいます。
味には自信がありましたが、ほとんど売れませんでした。

「明日こそ、割れませんように」
毎晩、職人は神様に祈りました。

ある夜、売れ残りを見て思いつきました。
「捨てるのはもったいない。塔でも作るか」

職人はプラモデル作りが得意でした。
割れたかけらを組み合わせ、一晩で見上げるほど立派な塔を作りました。

翌朝、店先に人だかりができました。
「同じクッキーです。どうぞ」
職人が試食を配ると、
「おいしい!」
「こんなクッキー、初めてだ!」

評判は町中に広まり、職人の店は繁盛しました。

その日から、町中のクッキー屋のクッキーは割れていました。
その他
公開:26/10/30 17:32

宮東真 琴音

日常に潜む不思議や矛盾をもとに最後に「あっと」思わせるブラックユーモアなどを書いています

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