若いお寿司

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正月だからと、母が寿司と獅子舞を頼んだらしい。今年こそは良い年でありますようにと、奮発したのか。

玄関の戸を開けると、出前用の寿司桶が置いてあった。他に誰の姿もない。
「えっ?」
と言うや否や桶の蓋が開き、獅子頭が歯打ちをするかのようにカッカッと音を鳴らした。
「だから寿司と獅子舞を頼んだんじゃなくて、スシマイを頼んだの」
と言う母の声を合図に、桶から次々と寿司が飛び出し宙を舞う。
まさに獅子舞ならぬ寿司米、いや寿司舞だ。
「ベテランじゃなく若いお寿司だから舞方が粗いけど、元気でいいわね」
「若いお寿司……」

「味も良かったわ。若いっていいわね」
母が緑茶をすすってから言う。
「うん、元気だね。それも獅子舞みたいに邪気払いや縁起担ぎみたいなもんなのかな」
「ええ、おめでタイってことでもあるんじゃないかしら」
私は母の頭にカプリと噛みついている、盛り付けの鯛の頭を見ながら緑茶をすすった。
その他
公開:26/09/25 11:45
更新:26/09/25 11:36
若いお寿司

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