食パンが2枚

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 食パンが二枚、オーブントースターで焼かれていた。
 一枚が言った。
「ここは熱いな」
 もう片方が答えた。
「もう少しの辛抱さじきに外に出られるよ」
「どうしてわかる?」
「母さんが焼かれるのを見ていたからね」
「それで君のお母さんは?」
「食べられたよ、人間にバターを塗ってもらったのがせめてもの慰めかな。僕はジャムがいいな。イチゴジャムを塗ってくれたら、たとえ食べられても文句は言わないよ」
「あきれた奴隷根性だな。俺はそんなの死んでも嫌だ。ちきしょう、出せーっ、出しやがれ」
 残念ながらタイマーはじりじりと進み、「チン」と鳴って食パン二枚は焼き上がった。
 一枚は希望通りイチゴジャムを塗られて大喜びし、もう一枚はわざと床に落ちたが、拾われて再度トースターで焼かれた。
「大丈夫だろう」、とその家の父親が言い、消毒済みのもう一枚を、即席のコーンクリームスープにひたして食べた。
その他
公開:26/09/07 12:00
更新:26/09/03 15:18

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