付喪神

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百年前、町じゅうで大規模な断捨離が行われた。
人々は欠けた食器、色あせた衣服、遊ばれなくなった玩具達を、まとめて処分したのです。
しかし百年の時を経たある夜、月明かりの下で、それらは付喪神となって目を覚ましました。
欠けた茶碗は小さな帽子をかぶり、古着の着物は風に袖を揺らし、ゼンマイの玩具は、チリンチリンと鈴を鳴らしながら歩みます。
人形、ぬいぐるみ、片方だけの靴下までが、皆がとても楽しそうに街中を行進しています。
ようやく自由になれたね!
もう二度と捨てられる心配もないわ。
かつての持ち主たちは夢の中で、その姿を見てたであろうか。
懐かしい玩具が笑い、食器が踊り、衣服が星空へ手を振っている。
翌朝、町には一個の古いボタンだけが残されていた。
すると誰かが耳元で、こう囁いた。
物を捨てることは、さよならではない。
百年後、また会えるかもしれないから。
ファンタジー
公開:26/08/29 14:17

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