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レンガでぐるりと囲まれた昭和っぽい邸宅の門の上から、赤く色づき始めたもみじが顔を出している。ふと生家を思い出した。いまはない実家もこんなだった。しばしぼんやり、もみじのグラデーションに見入っていると門扉が開き、胡麻塩の坊主頭が現れた。
「兄ちゃん」
鼻をぐずぐずさせながら弟が微笑む。
「お母さんは元気か」
「死んだよ。三年前」
「そうか。じゃあな」
「ちょっと待って」と言って弟はいったん引っ込み、しおれた彼岸花を一本手にして戻ってきた。
「兄ちゃん、彼岸花好きだから」
受け取りながら俺は、いつまで経っても弟は馬鹿だなと思った。人の好みは不変ではない。
「いま、何してるんだ」
くすんだ色の彼岸花を見つめ、俺は言った。
「クロスワードパズル」
そういう意味じゃなくてな、と言おうとして顔を正面に向けると、そこは空き地で、いちめんに彼岸花が咲いていた。涙で視界がぼやけ朱ににじんだ。
「兄ちゃん」
鼻をぐずぐずさせながら弟が微笑む。
「お母さんは元気か」
「死んだよ。三年前」
「そうか。じゃあな」
「ちょっと待って」と言って弟はいったん引っ込み、しおれた彼岸花を一本手にして戻ってきた。
「兄ちゃん、彼岸花好きだから」
受け取りながら俺は、いつまで経っても弟は馬鹿だなと思った。人の好みは不変ではない。
「いま、何してるんだ」
くすんだ色の彼岸花を見つめ、俺は言った。
「クロスワードパズル」
そういう意味じゃなくてな、と言おうとして顔を正面に向けると、そこは空き地で、いちめんに彼岸花が咲いていた。涙で視界がぼやけ朱ににじんだ。
公開:26/08/23 03:04
更新:26/08/23 03:07
更新:26/08/23 03:07
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