思い出、買い取ります

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『思い出、買い取ります』

そんな看板を掲げた小さな店が、街の裏通りにできていた。
男が店に入ると、「オーナー」と書かれた名札をつけた男がいた。

「本当に思い出を買い取るんですか?」

「ええ。例外もありますが、どんな思い出でも買い取ります」

男は棚を指差した。

「これはいくらですか?」

「『初めて海外旅行に行った思い出』は、三万円です」

「買う人がいるんですか?」

「ええ。思い出だけでも欲しい人は多いんですよ」

「私の思い出も査定してください」

「もちろんです」

男は思い出を話した。
子供の頃、父と公園で遊んだこと。母の作った夕食を家族で食べたこと。初めて自転車に乗れたこと。

「申し訳ありません。その思い出は買い取れません」

「価値がないんですか?」

「そうではありません」

オーナーは、査定表を差し出した。
金額の欄には、こう書かれていた。

『プライスレス』
ファンタジー
公開:26/08/16 13:47

加賀美 秋彦

加賀美 秋彦と申します。
2025年4月から、ショートショートを書き始めました。
色々なジャンルの作品を書いています。
よろしくお願いします。

作品イラストはフリー素材やAIで作成したものです。

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