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 雨と一緒に、女の子が降ってきた。地面に尻餅をつき、「痛っ」とひとこと。 「大丈夫ですか?」
「大丈夫ですかって」。
「あんたが呼んだんでしょうが」と続けた。
「僕が? 呼んでませんよ。だいいち、いったいどうやって」
「ああもういい」
「あの、なんか怒ってます?」
「怒ってない」
「怒ってる感じしますよ」
「怒ってない」
「怒ってる」
「怒ってない」
「怒ってる」
「怒ってない!」
「ほら、怒ってる」
「あーっ。怒ってないって言ってるでしょ! しつこいんだよあんたはあ! 子どものころから全然変わってないわね。せっかく来てあげたのに。帰る!」
 女の子は僕に背を向けると、助走をつけ、高く飛び上がり、たちまち見えなくなった。
「なんだったんだろう」
 そうつぶやいて、二、三歩歩き出してから、ついさっきまで、十年前に亡くなった姉のことを考えていたことにやっと気づいた。  
公開:26/08/18 04:34

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