よく届く樹

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むかしむかし、あるところに、札を結ぶ黒い樹がありました。
言いにくいことのある者は、夜ごと枝へ札を結びました。

タカシは一枚読んで、
「うわ、これ使いやすいな」
と笑いました。

セウゴは札を見て、
「どれも、最後だけやさしい」
と申しました。

林の奥の老女は、読まれぬ札を綴じなおしました。
小屋の軒では、細い紙束が風に鳴っておりました。
戻った札は、どれも同じところで折り返されておりました。

ワイゴは枝を見上げ、
「やわらかい文は、よく馴染みますからね」
と薄く笑いました。

春になるころ、村では口げんかが減りました。
そのかわり、褒められたあとで寝つけぬ者が増えました。

枝先には、どの札もおなじ結びの文で揺れ、
黒い樹だけが、つやつやと茂っておりました。
ファンタジー
公開:26/04/24 18:00
更新:26/04/24 17:36

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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