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むかしむかし、あるところに、札を結ぶ黒い樹がありました。
言いにくいことのある者は、夜ごと枝へ札を結びました。
タカシは一枚読んで、
「うわ、これ使いやすいな」
と笑いました。
セウゴは札を見て、
「どれも、最後だけやさしい」
と申しました。
林の奥の老女は、読まれぬ札を綴じなおしました。
小屋の軒では、細い紙束が風に鳴っておりました。
戻った札は、どれも同じところで折り返されておりました。
ワイゴは枝を見上げ、
「やわらかい文は、よく馴染みますからね」
と薄く笑いました。
春になるころ、村では口げんかが減りました。
そのかわり、褒められたあとで寝つけぬ者が増えました。
枝先には、どの札もおなじ結びの文で揺れ、
黒い樹だけが、つやつやと茂っておりました。
言いにくいことのある者は、夜ごと枝へ札を結びました。
タカシは一枚読んで、
「うわ、これ使いやすいな」
と笑いました。
セウゴは札を見て、
「どれも、最後だけやさしい」
と申しました。
林の奥の老女は、読まれぬ札を綴じなおしました。
小屋の軒では、細い紙束が風に鳴っておりました。
戻った札は、どれも同じところで折り返されておりました。
ワイゴは枝を見上げ、
「やわらかい文は、よく馴染みますからね」
と薄く笑いました。
春になるころ、村では口げんかが減りました。
そのかわり、褒められたあとで寝つけぬ者が増えました。
枝先には、どの札もおなじ結びの文で揺れ、
黒い樹だけが、つやつやと茂っておりました。
ファンタジー
公開:26/04/24 18:00
更新:26/04/24 17:36
更新:26/04/24 17:36
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