野乃と「のの」

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クリーニング屋から冬物を受け取ってきた帰り道

腕に抱えた荷物は、季節をひとつぶん、しまい込むような重みがある

歩くたび、カサカサとビニールが鳴っては、春の淡い光を乱反射させる

ふと、歩道の脇の植え込みでちいさな音がして、乾いた葉がカサリ、と

鳥かな

それとも

たんに風かもしれないけど

ねこだったらいいな

陽だまりのなかで、まあるくなっている姿を想像してみる

光を反射するビニールの音と、見えない誰かの足音に耳を澄ませて

ゆっくりと、春の時間だけが続いていく

わからないまま

正体なんて暴かなくていい

ねこだったらいいな

「のの」にしかられてしまうかな

でも

ねこだったらいいな




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その他
公開:26/04/22 06:16

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