レディ・ライラックへ

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 これは街角で拾った言葉ですが。
 貴女の名前はライラック。
 貴女の花に、人は若さと恋と慎ましさと、遠い記憶を見るようです。
 貴女は香り。貴女は音色。
 その淡い色彩も、どうやらそろそろ終わる頃。
 貴女が散らした小さな花を、夜の女王へお届けします。
 それはきっと星のように、あの帳髪を飾るでしょう。
 貴女の香りで満ちる宵。その闇に酔い夢を見る。
 私は空へ。暮れの果てへ。
 永遠が終わる刹那があれば。
 その時にまた、逢いましょう。

 烏は花へそっと口付け、枝を揺らすこともなく、黄昏の中へ飛び去った。
ファンタジー
公開:26/05/30 00:00
更新:26/04/25 23:10

鹿野 秋乃

毒にも薬にもならないお話ばかりです。

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