リンゴマシン・ルーティーン

0
1

洗濯ジローは壊れてしまった。
お掃除タローも同じく。
お料理サブローも運転シローも、もう動かない。
皆、複雑な動きを必要とするマシンたちだ。
定期的なメンテナンスが要る。
しかし、メンテナンスをする人間たちはもういない。
詳しい事情は分からないが、大きな戦争があったらしい。
もう映らないテレビから流れるニュースで、そう聞いた。
しかし、私に出来ることは、庭の木から毎朝、リンゴを一個もいで来て、皮を剥いてご主人様のベッドに運ぶこと。それだけだ。
私、皮剥きゴローはその為だけに作られたマシンだから。
他のマシンたちより動作が限られている分、今でも稼働することが出来ている。
しかし、もう半月以上前から、ご主人様はリンゴを食べなくなった。
それどころかピクリとも動かない。顔色もずっと悪いままだ。
それでも、私は出来ることを繰り返す。傷んだリンゴを捨て、新しいのを用意する。動かなくなる、その日まで。
SF
公開:26/04/18 11:44

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容