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学校の帰り道に、立派な神社があった。
敷地内には樹齢千年をゆうに超えた藤の木があり、四月の終わり頃になると、それはもう見事な数の花房を十数メートルに及ぶ棚いっぱい垂らし、訪れた人々の目を楽しませるのだった。
神々しいまでに美しく近寄り難い彼だが、実は人懐こい一面があることをわたしは知っている。
真夜中、十年ぶりに藤棚の下に立ったわたしは、静かに口をひらいた。
「傘を持ってきたよ。遊ぼう」
あくびのあと、機嫌の悪そうな声が返ってきた。
「あと少し遅かったら、もう俺の気が変わっていたかもな」
「ごめん。大人にならないと、真夜中出歩けないんだ」
「本当は忘れていたんだろ?」
藤の木は不満そうに鼻を鳴らしたが、子供の頃こっそり交わした約束どおり、花房に傘を引っかけて、ブランコ遊びをさせてくれた。
楽しい思い出はどんな栄養ドリンクよりも効果がある。背筋を伸ばして都内のアパートに帰った。
敷地内には樹齢千年をゆうに超えた藤の木があり、四月の終わり頃になると、それはもう見事な数の花房を十数メートルに及ぶ棚いっぱい垂らし、訪れた人々の目を楽しませるのだった。
神々しいまでに美しく近寄り難い彼だが、実は人懐こい一面があることをわたしは知っている。
真夜中、十年ぶりに藤棚の下に立ったわたしは、静かに口をひらいた。
「傘を持ってきたよ。遊ぼう」
あくびのあと、機嫌の悪そうな声が返ってきた。
「あと少し遅かったら、もう俺の気が変わっていたかもな」
「ごめん。大人にならないと、真夜中出歩けないんだ」
「本当は忘れていたんだろ?」
藤の木は不満そうに鼻を鳴らしたが、子供の頃こっそり交わした約束どおり、花房に傘を引っかけて、ブランコ遊びをさせてくれた。
楽しい思い出はどんな栄養ドリンクよりも効果がある。背筋を伸ばして都内のアパートに帰った。
ファンタジー
公開:26/04/17 21:21
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintやAIで作成しています。
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いちいおと