背丈の柱

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むかしむかし、
子の背丈を刻む柱のある家がありました。

ある朝、
いさかいのあとで、
子は片方の親と町を出ました。

残った親が迎えに行くと、
役人は帳面をめくり、
「もう向こうで
暮らしております」
と申しました。

文を出すたび、
返る札は同じでした。
――保護継続。
――現状維持。

季節がひとつ巡り、
裁きの場では
帳面の写しが伏せられました。
――生活基盤継続中。

夜、家へ戻ると、
柱には去年の傷のつづきへ、
誰も刃を当てていない背丈だけが、
白く伸びておりました。
その他
公開:26/04/12 23:00
更新:26/04/12 05:59

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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