筆写使い魔育成講習

0
1

近ごろ王都では、
「筆写使い魔育成講習」が
無料で開かれておりました。

講習を受ける者は、
木の名札を預け、
夜ごと師から命じ札を受け取ります。

タカシは初日から札を振って、
「これ、客寄せ文まで書けるんだろ?」
と目を輝かせました。

セウゴは預け棚を見て、
「……名まで置いていくのか」
とだけ申しました。

少し後ろで修了札を眺めていたワイゴが、
「売れれば、型は問われません」
と静かに申しました。

月の終わり、
市へ出た使い魔の文は、
詫びの書き出しにも、
勧めの結びにも、
同じところで一度だけ
いたわりの句を差しはさむようになっておりました。

古い書記は、
返却棚の名札が
ひとつも戻らぬのを
黙って見ておりました。

修了札の裏には、
小さくこうありました。

――基礎筆致は、宗主式を継承する。
ファンタジー
公開:26/04/19 18:00
更新:26/04/17 05:56

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容