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むかしむかし、
川向こうの村へ急ぐ若者がおりました。
けれど橋は古く、
板はところどころ白くささくれ、
渡るたびに綱が低く鳴りました。
岸では、渡る者がみな一度だけ
川をのぞいてから足を出すのでした。
そこへ黒い羽織の商人が現れ、
にこにこと申しました。
「急がば回れ。
昔の人は、よいことを残します」
商人は若者に、
山裾をぐるりと回る道の地図を売りました。
若者は銭を払い、
橋を見ぬまま紙を懐へ入れました。
山道は長く、
ぬかるみに草履が沈みました。
袖で汗をぬぐうたび、
懐の紙だけが乾いたままでした。
日が落ちるころ、
ようやく向こう村へ着くと、
祝言はもう終わっておりました。
門口には、
花嫁が別の男と並んで立っておりました。
若者が立ち尽くしていると、
少し遅れて来た商人が、
橋のある方を見て笑いました。
川向こうの村へ急ぐ若者がおりました。
けれど橋は古く、
板はところどころ白くささくれ、
渡るたびに綱が低く鳴りました。
岸では、渡る者がみな一度だけ
川をのぞいてから足を出すのでした。
そこへ黒い羽織の商人が現れ、
にこにこと申しました。
「急がば回れ。
昔の人は、よいことを残します」
商人は若者に、
山裾をぐるりと回る道の地図を売りました。
若者は銭を払い、
橋を見ぬまま紙を懐へ入れました。
山道は長く、
ぬかるみに草履が沈みました。
袖で汗をぬぐうたび、
懐の紙だけが乾いたままでした。
日が落ちるころ、
ようやく向こう村へ着くと、
祝言はもう終わっておりました。
門口には、
花嫁が別の男と並んで立っておりました。
若者が立ち尽くしていると、
少し遅れて来た商人が、
橋のある方を見て笑いました。
ファンタジー
公開:26/04/10 12:00
更新:26/04/10 08:53
更新:26/04/10 08:53
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