盗まれた縁(えん)

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ある日、縁結びの神社に預けられていた大量の縁が盗まれた。
幸い、全ての縁には保険がかけられており、すぐに補填された。
だが、盗まれた縁が闇市場で売り捌かれ、さらに補填で縁が過剰に増え、混乱が起きた。

一人の人間に複数の恋人ができる。他人同士が急に家族だと主張する。見知らぬ他人の罪を庇う者も現れる。

やがて、人々は縁を恐れるようになり、救いを求めて『縁切り寺』へと押し寄せた。
縁切り料は高額だったが、連日長蛇の列ができた。

数ヶ月後。
混乱は収まり、街には静けさが戻っていた。
その頃、縁切り寺の奥の一室では、住職と神主とスーツの男が話し込んでいた。

「見事でしたな。すべてあなたの計画通り」

「これで三者とも儲かる。ありがたい話ですな」

差し出された封筒を受け取り、スーツの男は笑った。

「滅相もございません。これもなにかの縁ですから」

男の胸には、保険会社のバッヂが光っていた。
ミステリー・推理
公開:26/04/08 00:13
更新:26/04/08 02:13

加賀美 秋彦

加賀美 秋彦と申します。
2025年4月から、ショートショートを書き始めました。
色々なジャンルの作品を書いています。
よろしくお願いします。

作品イラストはフリー素材やAIで作成したものです。

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