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瘴霧の谷に、
旅人を癒す灯火塔があった。
傷ついた者を寝かせ、
熱を鎮め、
夜明け前の歯ぎしりを受ける。
継承帳は、
代ごとに一冊ずつ増えた。
塔に入った者は
長く保たなかった。
ひとり消えるたび、
その者の役目は
下の者へ静かに移された。
夜半の見回り。
口移しの薬。
眠れぬ者の夢受け。
死者の名の記録。
最後に残ったのは、
いちばん若い彼女だった。
その冬、
塔の灯は前より明るく燃えた。
ふもとでは快癒の札が増え、
村ではそれを
灯の当たり年と呼んだ。
春になっても、
彼女は降りてこなかった。
最上階の燭台の根元には
白い薄片がいくつも沈み、
束になった黒い芯が
まだ燃えていた。
――最終灯芯、充当済。
旅人を癒す灯火塔があった。
傷ついた者を寝かせ、
熱を鎮め、
夜明け前の歯ぎしりを受ける。
継承帳は、
代ごとに一冊ずつ増えた。
塔に入った者は
長く保たなかった。
ひとり消えるたび、
その者の役目は
下の者へ静かに移された。
夜半の見回り。
口移しの薬。
眠れぬ者の夢受け。
死者の名の記録。
最後に残ったのは、
いちばん若い彼女だった。
その冬、
塔の灯は前より明るく燃えた。
ふもとでは快癒の札が増え、
村ではそれを
灯の当たり年と呼んだ。
春になっても、
彼女は降りてこなかった。
最上階の燭台の根元には
白い薄片がいくつも沈み、
束になった黒い芯が
まだ燃えていた。
――最終灯芯、充当済。
ホラー
公開:26/04/08 22:00
更新:26/04/08 05:52
更新:26/04/08 05:52
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