春のいたずら

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新学期はピンク色

どこを向いてもピンク色

校庭の桜が反射しているのか、それとも浮き足立ったみんなの体温のせいなのか

開け放たれた窓から、そよそよと風がやさしく忍びこんでは、
女の子たちの長い髪をさらりさらりとゆらしている

ふいに、前の席から僕のとは違う香りが、鼻先をくすぐってくる

石鹸のような、いや、それでいて春の花のような、なんとも甘く清潔な香り

スマホの画面に目を落としたまま、そっと深くその香りを吸いこむ

誰にも悟られないように、こっそり、こっそり

憧れでもなんでもない、春が僕をそうさせる

すまないことだと思いつつ、けれども、すべては春のせい

そう、これは春のいたずら

小さな罪を季節になすりつけ、潔く香りを堪能する

この胸のときめきも、鼻腔をくすぐる淡い熱も、きっと全部そういうこと

そのように決めつけて、この贅沢な時間を、もっともっと、甘く甘く






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その他
公開:26/04/07 04:45
更新:26/04/07 04:46

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