最期の呪い

0
2

 「今手が離せない。後にしてくれ」
 難題に夢中な学者の頭に、兵士は剣を振り下ろした。
 事切れた学者の机上には、解だけが無い命題が残された。
 好奇心に満ちた兵士は、その問いを見た。
 幾許かの知識を備えた彼は、その答えを考えてしまった。
 けれどそれは、兵士の知恵には余る難問。
 それが解ける者は、今世を去った。
 知りたい。導き出したい。白日の下に晒したい。
 帰結への渇望は、兵士の思考に寄生して、彼は夜も眠れず、食事も喉を通らなくなった。
 疑問が彼を苛み、その懊悩から解放されることはないまま、日毎に兵士は衰弱していって、やがてふつりと息絶えた。
これが学者の最期の呪い。
ホラー
公開:26/04/09 19:33

鹿野 秋乃

毒にも薬にもならないお話ばかりです。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容