触らぬ祠

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むかしむかし、
村はずれに、誰も手を触れぬ古い祠がありました。

戸はゆがみ、
注連縄は色を失い、
風のない日でも、鈴だけが鳴るのでした。

村の者はみな、
「触らぬ神に祟りなし」
と言って、遠巻きにしておりました。

そこへ黒い羽織の男が現れ、
「触れぬのが、いちばん穏当でしょう」
と申しました。

それから村では、
夜に鈴が鳴ると、
戸口の灯だけ早く消えるようになりました。

秋の終わり、
祠の裏の土が崩れ、
となりの家の井戸へ落ちました。

水は濁り、
汲んだ桶の底には
黒い砂が残りました。

そのとき、
いつのまにか黒い羽織の男が
井戸のふちに立っておりました。

「ええ。
水のほうへ出ましたか」
ファンタジー
公開:26/04/15 12:00
更新:26/04/10 20:29

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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