0
1
むかしむかし、
何をしても運の悪い男がおりました。
畑を耕せば石ばかり当たり、
市へ出れば雨に降られ、
村では
「ついておらぬ男だ」
と言われておりました。
そこへ黒い羽織の男が現れ、
軒下で空を見上げて申しました。
「棚から牡丹餅。
ようできた言葉でございます」
その日から男は、
働くより先に
棚の下で待つようになりました。
初めは何も落ちませんでした。
けれどある昼、
隣家の棚から包みがひとつ転がり、
男の膝もとへ落ちました。
開けると、餅ではなく
銀の小粒がいくつも入っておりました。
男は震える手で握りしめました。
けれど夕方までに、
銀は隣家へ戻り、
男の掌には
紐の跡だけが残りました。
黒い羽織の男は、
空になった包みを拾って申しました。
「ええ。
落ちるものほど、
手早く戻るものでございます」
何をしても運の悪い男がおりました。
畑を耕せば石ばかり当たり、
市へ出れば雨に降られ、
村では
「ついておらぬ男だ」
と言われておりました。
そこへ黒い羽織の男が現れ、
軒下で空を見上げて申しました。
「棚から牡丹餅。
ようできた言葉でございます」
その日から男は、
働くより先に
棚の下で待つようになりました。
初めは何も落ちませんでした。
けれどある昼、
隣家の棚から包みがひとつ転がり、
男の膝もとへ落ちました。
開けると、餅ではなく
銀の小粒がいくつも入っておりました。
男は震える手で握りしめました。
けれど夕方までに、
銀は隣家へ戻り、
男の掌には
紐の跡だけが残りました。
黒い羽織の男は、
空になった包みを拾って申しました。
「ええ。
落ちるものほど、
手早く戻るものでございます」
ファンタジー
公開:26/04/14 12:00
更新:26/04/10 20:11
更新:26/04/10 20:11
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます
問い屋