棚から牡丹餅

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むかしむかし、
何をしても運の悪い男がおりました。

畑を耕せば石ばかり当たり、
市へ出れば雨に降られ、
村では
「ついておらぬ男だ」
と言われておりました。

そこへ黒い羽織の男が現れ、
軒下で空を見上げて申しました。
「棚から牡丹餅。
ようできた言葉でございます」

その日から男は、
働くより先に
棚の下で待つようになりました。

初めは何も落ちませんでした。
けれどある昼、
隣家の棚から包みがひとつ転がり、
男の膝もとへ落ちました。

開けると、餅ではなく
銀の小粒がいくつも入っておりました。
男は震える手で握りしめました。

けれど夕方までに、
銀は隣家へ戻り、
男の掌には
紐の跡だけが残りました。

黒い羽織の男は、
空になった包みを拾って申しました。

「ええ。
落ちるものほど、
手早く戻るものでございます」
ファンタジー
公開:26/04/14 12:00
更新:26/04/10 20:11

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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