あたたまる石

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むかしむかし、
何をしても長続きせぬ若者がおりました。

畑も三日、
荷運びも五日、
習い事は月が変わる前にやめるので、
村では
「腰の軽い男だ」
と言われておりました。

そこへ黒い羽織の男が現れ、
平たい黒石をひとつ売りました。
「石の上にも三年」
と申しました。

若者は石を庭へ置き、
朝から晩まで座るようになりました。
初めのうち石は冷たく、
立つたび脚がしびれました。

けれど日がたつと、
若者は用もなく歩き回らなくなり、
村の者は
「今度こそ落ち着いた」
と褒めました。

三年目の春、
町の職人が弟子を取りに来ました。
若者は立ち上がりましたが、
片足だけが少し遅れ、
踵が土をこすりました。

黒い羽織の男は、
ぬくもった石に手を置いて申しました。

「ええ。
よう馴染みました」
ファンタジー
公開:26/04/13 12:00
更新:26/04/10 20:00

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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