めぐる帳面

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むかしむかし、
頼まれると断れぬ娘がおりました。
米を分け、寝床を貸し、夜更けまで人の話を聞くので、
村ではやさしい娘と呼ばれておりました。

そこへ黒い羽織の男が、薄い帳面を売りました。
してやったことを書けば、めぐりが見えるのだといいます。

戸を叩く音がすると、
娘は先に帳面を開くようになりました。
困りごとは皆、
娘の家へまっすぐ来るようになりました。

冬の終わり、帳面は寝床のそばで
いちばん重いものになっておりました。

見舞いの者は礼を言い、
頼みごとの紙だけ置いて帰りました。

男はその紙を頁のあいだへそろえて挟み、
「ええ。ちゃんと、めぐっております」
ファンタジー
公開:26/04/12 12:00
更新:26/04/10 19:35

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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