よく効く黙り薬

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むかしむかし、
祝いの席でも弔いの席でも、
つい余計なことを言う男がおりました。

悪気はないのに場を白けさせるので、
村では
「黙っていれば、まだましだ」
とまで言われておりました。

そこへ黒い羽織の男が現れ、
小さな丸薬をひと箱売りました。
飲めばいらぬ言葉が
喉で止まるのだといいます。

村人にも勧められ、
男は薬を飲みはじめました。
たしかによく効きました。
飲むたび、
舌に甘みだけが残りました。

やがて
「落ち着いた」
「思慮深くなった」
と評判までよくなりました。

その年の夏、
男はいちばん先に
納屋の火に気づきました。

けれど声は、
喉のところで
止まったままでした。

火は屋根へ移り、
納屋はすっかり焼けました。

村ではそのあと、
あの薬を
「よく効く」と呼ぶようになりました。
ファンタジー
公開:26/04/11 12:00
更新:26/04/10 12:38

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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