年度の始めに印鑑を

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「印鑑いりませんか? 新社会人の必須アイテム!」
怪しげな勧誘に思わず後ずさる。
「あ、疑ったでしょ。嫌だなあ。実はね、これ正真正銘の開運印なんです。見ててください」
そう言うや、彼は自分の手に印鑑を押しつけた。「開運」の二文字が浮く手で自販機のボタンを押すと、途端に派手なライトが点滅する。
――アタリだ!
「すごいでしょ? これを押せば幸運間違いなし。お買い得だよ」

開運印の効果は絶大だった。
仕事は楽しいし、上司や先輩も親切だ。おまけにめちゃめちゃ可愛い子が同期ときている。
俺はさっそくその子にアプローチした。だが何度誘っても、彼女の態度は冷たくなる一方だ。
よし、もっと強気でアタックしてやろう。何しろ俺には開運印がある……!
「ねえ、今日こそOKしてよ。俺……」
「無駄よ」
彼女が仏頂面で目の前に手を突き出す。その甲には鮮やかな朱文字で
「厄除け」
と書かれていた。
その他
公開:26/04/01 13:02
ご無沙汰しております 久々に投稿しました 印鑑 四月 新社会人 おめでとう ちょうど今日印鑑買った(笑)

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnote・TALES・公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・第2回 日本おいしい小説大賞 最終候補(小学館)
・第31回やまなし文学賞 佳作『雨を知るもの』
・創作大賞2025 入選 『栗と牡丹』
・SSアンソロジー『ベリショーズ』寄稿
・ホラーアンソロジー『ウタ・カタ』寄稿

【刊行】
・第31回やまなし文学賞受賞作品集(山梨日日新聞社)
・栗は月色、こがね色 和菓子処長月堂(朝日文庫)
 

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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