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魔王は、
言葉をほとんど持たなかった。
黒い玉座の前で、
若者は剣を振り下ろす。
相手が崩れる直前、
外套の奥で揺れた首札だけが見えた。
そこにも名はない。
勝った、と若者は思う。
これで終わるはずだった。
だが玉座の裏には
封書が一通だけ残っていた。
王都の赤印。
旧名保管庫と同じ封緘。
若者はそれを開く。
封紙は軽く、
返還証が入るには
薄すぎる重さだった。
親指が紙の縁をこすり、
乾いた感触だけが残る。
中にあったのは返還証ではない。
薄い一枚紙。
最下段にだけ
新しい欄が増えている。
継承欄。
従行補助員が、
その紙を見て
初めて目を伏せた。
「……到達確認です」
裏面の細い事務字。
――討伐完了を確認。
――次期欠落選定権を、現到達者へ継承する。
言葉をほとんど持たなかった。
黒い玉座の前で、
若者は剣を振り下ろす。
相手が崩れる直前、
外套の奥で揺れた首札だけが見えた。
そこにも名はない。
勝った、と若者は思う。
これで終わるはずだった。
だが玉座の裏には
封書が一通だけ残っていた。
王都の赤印。
旧名保管庫と同じ封緘。
若者はそれを開く。
封紙は軽く、
返還証が入るには
薄すぎる重さだった。
親指が紙の縁をこすり、
乾いた感触だけが残る。
中にあったのは返還証ではない。
薄い一枚紙。
最下段にだけ
新しい欄が増えている。
継承欄。
従行補助員が、
その紙を見て
初めて目を伏せた。
「……到達確認です」
裏面の細い事務字。
――討伐完了を確認。
――次期欠落選定権を、現到達者へ継承する。
ファンタジー
公開:26/04/15 20:00
更新:26/04/05 21:55
更新:26/04/05 21:55
#名奪い連作
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