そして季節は進む

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ゆるく吹いた風には懐かしさがあった
公園のベンチで本を読むのに、それは、どうだろう
連なる文字に視線を上滑りさせながら淡く考える

視線を文字から外す

女性がひとり立っていて、やさしい笑顔を僕に見せる

栞をはさみ

―久しぶりだねえ

と僕

―そうね、ご無沙汰よねえ

とその女性

しばらく、その女性に何かを言って、言われて
女性から何かをきかれて、こたえて

あたりさわりのない会話、ありきたりな返答

  ・

―じゃあね

―うん、じゃあね

話してて、思い出した

喧嘩別れ、してたよね、僕たち

さて、はたして

  ・

若かったら追いかけていって、それを聞いただろう
しつこいくらいに、きっと

顔が、崩れる、自分でも、はっきりそれが

若くないのも、悪くないか

ゆるくつめたい風が吹き
春がもうそこまで来ていますよと
耳打ちしてきた












.
その他
公開:26/03/28 13:11

あまなす / 雨茄子


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