執行当番

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私は目覚めると、今日が自分の執行当番であることを思い出した。
面倒臭く思いながらいつもの様に家を出て、とある施設に向かう。
そこで事務的な手続きを済ませると、奥まった一室に通された。
その部屋はガランとしていて、中央に台が一台だけあった。
台の上には一丁の拳銃が、銃座を台に固定した状態で設置してある。
私は少々緊張しつつ、台に歩み寄って拳銃に手を伸ばす。
そしてその引き金を一度だけ、引いた。
これで、私の執行当番は終わった。
私はじっとりと汗ばんだ自分の手を見つめ、心に霧が掛かったような複雑な気分になったが、帰りにコンビニに寄って期間限定のスイーツを買うと、それで全部忘れた。
死刑が民営化されたこの世界で、どこかで一人の死刑囚が、死んだ。(了)
ミステリー・推理
公開:26/03/29 23:03

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