扉の歩き方

4
4

一つの扉が閉まると、別の扉が開くという言葉がある。失敗や挫折は、新たな可能性のはじまりであることを示しているそうだ。
しかし実際に、目の前に扉が現れた人間はそう多くないだろう。いや皆無かもしれない。俺を除いて。
「ふぅ、どうしたものかな⋯⋯」
受けた会社全落ちして親に勘当され、街をさまよっていた俺。信号待ちしていたら、いつの間にか周囲をノブ付きの扉に囲まれていた。頭上には憎たらしいほど青い空があり、ここが現実世界だと思い知らされる。詰んだ。
「適当に開けるか? 何が出てくるかもわからんのに?」
しばし悩んだ。しかし答えは意外と早く出た。絶望の底は味わったし、これ以上酷なことが起きるなら、いっそ私小説にしてしまおうと思ったのだ。
閉まった扉がなんだと言う。俺は俺の世界に渾身の拳を振り下ろしてやる。それが俺のやり方だ。
雄叫びを上げ、扉に体当たりした。やがて一つの扉から、希望の光が射し始めた。
ファンタジー
公開:26/03/25 08:03

いちいおと

☆やコメントありがとうございます✨

作品のイラストはibisPaintやAIで作成しています。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容