夕日キャッチャー

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人間は知らない。太陽が、1日3回入れ替わっていることを。
朝、昼、夕の担当がいて、決まった時間になると、専用アームを使って箱から取り出し、空に浮かべているのだ。担当者はキャッチャーと呼ばれている。今のぼくは夕担当だから、夕日キャッチャーである。
午後1時がぼくの勤務開始時間。ただ待ってるだけじゃなくて、箱に入ってる夕日の健康状態をチェックしたり、アームが問題なく動作するか点検している。
夕日ってやつは特に繊細で、メソメソしていることがあるから厄介なのだ。なんとかなだめて、仕事してもらわなくちゃいけない。
「⋯⋯春はお別れの季節。寂しいわ⋯⋯」
涙声でつぶやいた夕日に、ぼくは精一杯の笑顔で応じる。
「君のおかげで楽しく過ごせたよ。ありがとな!」
年度末でぼくは夕担当を終える。次は朝に異動するのだ。
「わたしのこと、忘れないでね!」
アームでつかんだ夕日は、涙をこらえてほほ笑んでいた。
ファンタジー
公開:26/03/26 10:09

いちいおと

☆やコメントありがとうございます✨

作品のイラストはibisPaintやAIで作成しています。

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