鴛鴦(おしどり)選手権

1
2

『鴛鴦選手権』
その決勝の舞台には、勝ち残った夫婦が並んでいた。
優勝すれば、豪邸一軒分の賞金が手に入る。
問題は単純だ。どれだけ相手を理解しているか。
答えは一致し続け、なかなか決着はつかなかった。

「では、最終審査です。互いの愛を、自由に表現してください」

夫婦たちは穏やかに互いの愛を語り始めたが、やがて空気が変わった。

「そちらの旦那さんは、初めて言葉を交わした日を忘れていましたよね?」

「あなたの奥さんは、答えに迷っていましたよ」

笑顔のまま、言葉だけが鋭くなっていった。

「そこまで」

主催者が告げた。

「優勝は、こちらのご夫婦です」

モニターに映し出されたのは、会場近く公園の池を寄り添いながら歩く、一組の老夫婦だった。

「どういうことだ!」

「彼らは参加していない!」

主催者は静かに言った。

「愛を競う時点で、鴛鴦ではないのですよ」
恋愛
公開:26/03/19 20:11
更新:26/03/19 21:25

加賀美 秋彦

加賀美 秋彦と申します。
2025年4月から、ショートショートを書き始めました。
色々なジャンルの作品を書いています。
よろしくお願いします。

作品イラストはフリー素材やAIで作成したものです。

note

https://note.com/a_kagami

X(Twitter)

https://x.com/kagami_short2?s=21

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容