映画会

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休みの日、町内の子供会で映画会が開かれるという回覧が回ってきた。暇だった私は軽い気持ちで公民館へ向かった。暗い会場で上映が始まると、画面には見たことのない奇妙な世界が映し出された。
そこでは、着物姿の侍がスマートフォンを手に町を歩き、長屋の横を電車が走っている。
提灯の並ぶ通りにはコンビニがあり、飛脚が自転車で手紙や荷物を運んでいる。
江戸時代と現在がまるで自然に混ざり合った、不思議な町だった。
人々は違和感もなく暮らしている。町人がタブレットで勘定をつけ、将軍の城にはエレベーターがあると聞く。
スクーリンを見ているうちに、なぜかその町の空気の匂いまで感じられる気がした。
ふと気づくと、周りの子供たちは静まり返り、誰も声を出さない。映画の中の侍がこちらを見て、ゆっくりと手を振った。その瞬間、私は思った。これはただの映画ではなく、どこかに本当に存在する世界を映しているのではないか、と。
ファンタジー
公開:26/03/22 14:31

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