宝石は美しい

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街角の宝石商。
指をくわえて眺める私に、同い年の少女が声をかけた。

「人って不思議だよね。
 身につけても意味ないのに、欲しがるでしょ?」

「憧れちゃいけないの?」

「憧れねぇ……。
 この石でガラスを割れば、手に入るよ。
 捕まるだろうけどね」

「そんなことできない」

「……そうなの?
 じゃあ、君の“キラキラ”は人が作った人工物だね」

私はムキになり、デートやパーティへの願望をぶつけた。
彼女は溜息をつく。

「追いかけている間が、一番幸せなのかもね」

彼女は去り、私は店を離れた。
宝石は美しい。けれど届かない。

指をくわえるのに飽きて働けば、また辛くなる。
目標はなんだ。宝石。親しい人と笑うこと。

今の状況では、絶対に叶わない。
SF
公開:26/03/20 20:15

松下一成( 長野県 )

1989年長野県工業高校・工業大学で電気電子工学を学び設備系の会社へ就職。2019年諸事情により退職しました。以後物語を書いています。物語を通じて「自分」を振り返り見つめなおすこと。それは「答えは常に自分の足元にある」ということでもあります。「こんなのあったらおもしろそうだな」って世界を描きたいです。  【X】https://x.com/kazunari_UN【Instagram】https://www.instagram.com/kazunari.matsushita/【note】https://note.com/matsu_ine_zu

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