板の世界
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「なんだよ、ここは」
気がつくと、辺り一面が「板」だった。机も車も標識も、ぜんぶ平たい板の形をしている。
いつものカフェが閉まっていて、代わりを探して歩き回ったことは覚えている。人の気配がない、妙に静かな店を見つけて入った。そこまでは普通の記憶だ。
だが、その先がない。気づけば世界が板に置き換わっていた。
目の前の女主人の服も板だ。形は服だが、どう見ても平面。俺の困惑をよそに、外では板の車が走り、人々は板のスマホで平然と通話している。
「ご注文は?」
反射的に「コーヒーとサンドイッチ」と答えた。女主人はニヤリと笑い、ほどなく板の軽食が運ばれてきた。形はそれなのに、質感はぺらぺらだ。
「……これって?」
問いかけると、女主人はまた口角を上げた。
「これが貴方の世界と、私の世界の違いよ」
板の影が床に伸びていく。世界がひとつ。俺は言葉を失ってしまった。
気がつくと、辺り一面が「板」だった。机も車も標識も、ぜんぶ平たい板の形をしている。
いつものカフェが閉まっていて、代わりを探して歩き回ったことは覚えている。人の気配がない、妙に静かな店を見つけて入った。そこまでは普通の記憶だ。
だが、その先がない。気づけば世界が板に置き換わっていた。
目の前の女主人の服も板だ。形は服だが、どう見ても平面。俺の困惑をよそに、外では板の車が走り、人々は板のスマホで平然と通話している。
「ご注文は?」
反射的に「コーヒーとサンドイッチ」と答えた。女主人はニヤリと笑い、ほどなく板の軽食が運ばれてきた。形はそれなのに、質感はぺらぺらだ。
「……これって?」
問いかけると、女主人はまた口角を上げた。
「これが貴方の世界と、私の世界の違いよ」
板の影が床に伸びていく。世界がひとつ。俺は言葉を失ってしまった。
SF
公開:26/03/20 20:08
1989年長野県工業高校・工業大学で電気電子工学を学び設備系の会社へ就職。2019年諸事情により退職しました。以後物語を書いています。物語を通じて「自分」を振り返り見つめなおすこと。それは「答えは常に自分の足元にある」ということでもあります。「こんなのあったらおもしろそうだな」って世界を描きたいです。 【X】https://x.com/kazunari_UN【Instagram】https://www.instagram.com/kazunari.matsushita/【note】https://note.com/matsu_ine_zu
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松下一成