護衛のない船

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その星域の航路は、燃料を運ぶ船だけが通る。

入口には各小宇宙の護衛艦が浮かび、武装監視が通過船を止める。

通信が入る。

「所属星域」

「群島」

少し沈黙があった。

「護衛はどこだ」

船長は通信機を握り直した。
手の中で汗が少し滑った。

「ありません」

向こうで小さく笑う声。

「この航路の燃料は群島が一番買っている」

船長は言う。

「うちの星域は護衛を出さない決まりです」

星図を広げる音がする。

「ここは無人防衛域だ。護衛のない船は撃たれることがある」

船長は答えない。

やがて通信が入る。

「……通れ」

船は星域帯を抜けた。

軌道港では補給待ちの船が列を作り、燃料表示が静かに光っている。

壁の古い掲示。

『本航路の安全は参加星域の護衛により維持される。』



小さな但し書き。

『※群島星域は本航路護衛制度の適用対象外とする。』
SF
公開:26/03/17 19:00

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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