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まとまった休暇を取ることができたので、ひなびた村の温泉へ向かうことにした。最近疲れが取れないとこぼしたら、彼女が提案してくれたのだ。
しかし最寄り駅に着いたところで足止めを余儀なくされた。教えてもらった秘湯は、地図アプリにも載っていないのである。
「困ったな。ちゃんとミオに聞いておけばよかった」
彼女は仕事中だ。電話するのも申し訳ない。古い木のベンチに腰かけて宙を仰いでいると、男に声をかけられた。
「お困りですか?」
男は車掌の格好をしている。無人駅かと思っていたが違ったらしい。
秘湯の場所を尋ねると、車掌は手書きの地図を添えて説明してくれた。少し前から運行を始めたバス便があり、十分ほどで着くそうだ。
「助かりました。今度、未来の妻とお礼に伺いますね」
車掌は駅前のバス停で帽子を目深に被り直し、「しゅっぱーつ、しんこーう!」と、おれを見送る。その声は、なぜか涙で震えているようだった。
しかし最寄り駅に着いたところで足止めを余儀なくされた。教えてもらった秘湯は、地図アプリにも載っていないのである。
「困ったな。ちゃんとミオに聞いておけばよかった」
彼女は仕事中だ。電話するのも申し訳ない。古い木のベンチに腰かけて宙を仰いでいると、男に声をかけられた。
「お困りですか?」
男は車掌の格好をしている。無人駅かと思っていたが違ったらしい。
秘湯の場所を尋ねると、車掌は手書きの地図を添えて説明してくれた。少し前から運行を始めたバス便があり、十分ほどで着くそうだ。
「助かりました。今度、未来の妻とお礼に伺いますね」
車掌は駅前のバス停で帽子を目深に被り直し、「しゅっぱーつ、しんこーう!」と、おれを見送る。その声は、なぜか涙で震えているようだった。
その他
公開:26/03/18 08:19
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintやAIで作成しています。
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いちいおと