樹脈聴取林

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樹鈴領には、
進路を決める前に一度だけ入る
「樹脈聴取林」がある。

町で育った者はときどき、
石と灯りの多い職ばかり
選ぶようになる、と言われていた。

林では導石を預け、靴も脱ぐ。
湿った土に立つと、
足裏へ細い震えが返る。
半拍遅れて、
脈だけが追いついてきた。

翌朝、
伐採官を志望していた青年は、
納骨庫守の申請書を出した。

理由欄は空白。
署名の下だけ、
紙がわずかに毛羽立っていた。

受付は黙って受理し、
右上に細い字で追記した。

――林経由/再照会省略。
ファンタジー
公開:26/03/21 19:00
更新:26/03/18 19:32

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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