年輪提出室

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「ようこそ。今月も、安心して提出できる夜です」

年輪都市コアでは、月題の告知が終わると、記録官が書き手たちを地下の提出室へ通す。

壁には今月の題。机には薄い記録紙。棚の参考作には、剥がれ残る金札と余白に重なる推奨印。

「着想に迷う方は、末尾だけ整えてください。比喩の逸脱は二箇所まで許容されます」

書き手たちは目を上げず、所定の欄から埋めはじめた。

長さは規定内。哀切は過不足なく。余韻は共有層に準ずる形で。

記録官は紙片の端に順に印を押す。

安全
親和
掲示適

翌朝、公開棚には似た温度の文が並んだ。最上段の一枚の選定票には、

「掲示層との整合に優れた、標準的な題応答」

記録官は選定番号を控え、指先の黒を紙端へ移したまま、灰がまだ軽いうちに来月の題板を掛け替えた。
SF
公開:26/03/20 20:00
更新:26/03/18 19:29

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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