チューリップの球根

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「咲夜、何してるの?」

小さな鉢植えに土を入れてポンポン叩いている。

が、力を込めすぎてそれじゃあ息が出来ないんじゃないかと思った。

「もっとふんわりさせないと……ってか何植えてんの?」

「チューリップだよ。赤色の」

彼女はスリッパを雑に脱いでペットボトルを片手にやってきた。

「水あげなきゃ」

「あげすぎちゃ駄目だよ」

そのまま入れようとして止めた。

ビクッと肩を震わせてこちらを見る。

私も雑に脱ぎ捨てキリを持ってきた。

それをキャップに刺して穴を開ける。

「こうしたらジョウロになる」

「お〜小学校で見たことあるやつだ!」

早速傾けてトクトクとこぼれ落ちる。

「なんでチューリップにしたの?」

「昔を思い出しちゃって」

ふふっと柔らかく笑う咲夜はコテンと首を私の方に傾けた。

あの時は彼女だけ咲かなかったんだっけ。

まだ友達ですらなかった時に思いを馳せた。
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公開:26/03/16 20:22

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