夢の海中列車

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列車のホームは海の中にあった。
車内には見慣れぬ赤い花が飾られている。
海の青と対比が美しい。

私は案内されたテーブル席に座った。
この列車は日本の反対側にあるという無人島、G島へ向かう。
海中の直線距離で約2時間。日帰りで行けるらしい。

出発後、すぐのアナウンス。
「お客様、霧にご注意ください」

え?と思った時には、もう意識がなくなっていた。

目が覚めると、帰りのホームにいた。
ああ、それにしても車窓からの景色は美しかった。魚の大群は見ものだ。
島では七色の花畑を眺め、それからええと、未発見の巨人族に出会い…

その列車の乗客は皆、奇妙な体験談を話した。噂が広がり、G島はいつしか人々の憧れとなった。

ーー今日も満席。車内で眠る人々を見て、乗務員は笑う。
「皆さま、素敵な夢を」
霧散装置のレバーから手を離し、一服する。

次は6時間後、乗客を夢から覚ますため、また列車は動き出す。
公開:26/03/10 15:46

綿津実

自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。

113.夢の海中列車

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