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未来では、人は二回人生を生きられる。

ただし、二回目の人生には条件があった。

――経験三年以上。

男は一回目の人生を終えた。
五十二歳だった。

役所へ向かう朝、
男は冷めたコーヒーを飲みきれず、
流しにそのまま置いた。

二回目の人生の申請書を受け取る。

条件の欄には、同じ文字が並んでいた。

――経験三年以上。

男は窓口の職員に聞いた。

「一回目の人生では、
何をしておけばよかったんですか」

職員は書類をめくり、
男の履歴を確認した。

少しだけ間を置き、言った。

「未経験です」

男は書類を見た。

職歴。
家族。
実績。

どの欄も、空白だった。
SF
公開:26/03/09 19:00

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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