おつかれさまでえす

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長いトンネルを抜けるとそこは雪国だった
でも、なんというか、異世界の雪国だ

空は柔らかなパステルカラー
雪はぜんぜん冷たくなくて
触るとふかふかの綿あめみたい
あまくはないけど

と、突然、道端のポストが

―おつかれさまでえす

と会釈して通りすぎちゃって
街灯からは、りんごが鈴なりにぶら下がっている

―あ、やっと来た、遅かったじゃあん

声のほう見るとウチのねこが、ガードレールの上でまあるくなっている
見覚えのある茶トラの模様に、やけに短いしっぽ

―たまに道がつながんだよ

(道? はへ?)

―帰りの電車まで時間あるし、あっこでたい焼きでもたべてくかあ?

世界は、すっかり見たこともない景色だけれど
ねこだけはよく知ってるねこで
まあ、ひとまず安心した












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ファンタジー
公開:26/03/06 15:55

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