脇役症候群

2
2

『脇役症候群』
それが、僕の患っている病名だ。
この病気を発症すると、自分を出せず、常に誰かの後ろに下がってしまう。
そして、「主役は遅れてやって来る」というが、僕はいつも大事な場面では早く来すぎてしまう。
明確な治療法はなく、『脇役』を受け入れるしかない。

ある日、僕の学校のクラスに転校生がやって来た。
彼女は凛とした佇まいの美しい女性だった。
その日から、彼女の周囲には自然と人が集まった。
彼女はまさにヒロインで、僕は彼女を輝かせる脇役だった。

放課後、彼女が言った。
「キミって、いつも人の後ろにいるよね?」

僕の胸が跳ねた。
僕はわざと、冗談っぽく病名を告げた。
彼女は少し考えてから、微笑んだ。

「じゃあ、私の隣にいてちょうだい」

それから、僕はずっと彼女の隣にいる。
僕の病気が治ったわけではない。
きっと、彼女はヒロインではなく、遅れてやって来た『主役』だったのだろうな。
恋愛
公開:26/03/05 22:34

加賀美 秋彦

加賀美 秋彦と申します。
2025年4月から、ショートショートを書き始めました。
色々なジャンルの作品を書いています。
よろしくお願いします。
note

https://note.com/a_kagami

X(Twitter)

https://x.com/kagami_short2?s=21

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容