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毎日、決まった時刻にあの歩道橋を渡る。それがボクの日課。
見上げる空の色。頬をなでる風の温度。季節の移りかわりに合わせるように、足元に伸びる影の長さも、毎日、少しずつ変化して。

一段飛ばしで階段を駆け上がる。
それだって、静かで大切な独り占めの習慣だった。

ある日、その習慣に、ふいにキミがすべり込んできた。

一人きりだったアスファルトの上に、いまは、よりそうような黒い影がふたつ。
キミと歩幅を合わせて歩く時間は、いままでよりずっとゆっくりで、ずっと鮮やかだ。

「ねぇ、見て」

そう言って笑うキミの横顔を見ながら、ふと考えてしまう。
このふたつの影が、いつの日か―

さらに小さな影が加わって、みっつ並んでこの橋を渡る未来。
そんな、くすぐったいしあわせを、夕暮れに染まる街を見下ろしながら、ちょっぴり想像してみたりした。












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青春
公開:26/03/08 12:16

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