彼女の声

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「僕の彼女を探してください。行方不明になったんです!」

探偵事務所に駆け込んできた男は、必死の形相で訴えた。
探偵は静かに頷き、彼女に関する質問を始めた。

「彼女の写真は?」

「撮られるのが嫌いで」

「共通の知人は?」

「いません。二人だけでした」

探偵はペンを置いた。

「最後に『彼女の声』を聞いたのは?」

「その夜です」

「電話で?」

「いいえ。メッセージです」

探偵はタブレット端末を閉じた。

「彼女は行方不明ではありません。あなたが、言葉を与えなくなっただけです」

「どういうことですか?」

「あなたが探している彼女は、あなたのなかにしかいない」

長い沈黙のあと、男は言った。

「それでも、愛しているんです」

男が去ったあと、探偵はタブレット端末を見て、ため息をついた。

「……またか」

画面には、今流行りの『彼女の声』というチャットアプリが映っていた。
ミステリー・推理
公開:26/03/03 20:56

加賀美 秋彦

加賀美 秋彦と申します。
2025年4月から、ショートショートを書き始めました。
色々なジャンルの作品を書いています。
よろしくお願いします。

作品イラストはフリー素材やAIで作成したものです。

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