誘惑

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 夏の明け方の公園を散歩していた。今夜も眠れなかったのだ。虫が飛んでいた。見たことのない虫だった。それはよく見ると、睡眠導入剤だった。睡眠導入剤に、虫の翅のようなものが生えていて、飛んでいるのだった。それを歩きながら追いかけた。翅の生えた睡眠導入剤はやがて、木の枝の間に張られていたクモの巣に引っかかった。というよりもそれは、自ら突っ込んだように見えた。すると、のろのろと一匹のクモが現れ、睡眠導入剤にかじりついた。そして再びのろのろと巣の奥に引っ込んでいった。あのクモは眠るのだろう。俺はそれをしばらく見つめた後、クモの巣を壊して、家に帰った。
ホラー
公開:26/03/04 18:53

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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