暇なんだな

0
2

 夏、雲一つない青空の下を、数台の軽トラックが走っていく。荷台には雲が無造作に積まれている。廃雲回収の軽トラだ。廃棄になった雲たちは、昨日の空に浮かび、影で俺たちを束の間涼しくさせてくれた雲たちだ。昨日は昨日で、今日は今日だから、仕方がないことだ。俺は病院の屋上でタバコを吸いながら、それを眺めている。ああ、あの雲は、昨日俺が病室から見た雲だ。何となく形を覚えている。雲の形なんて昔は覚えたことなかったのに。入院してからだな。暇なんだな、俺。雲を積んだトラックたちが去っていく。廃棄になったあの雲たちはどこへ行くのだろう。天国に積まれているといいな、と何となく思う。天国に行きたいとは思わないが。
ファンタジー
公開:26/02/28 18:46

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容