何色
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病気で寝ている画家は、夕方、ふと目を覚ました。窓の外に夕日が輝いていた。病気の画家は、「あれを描きたい」と思った。画家は布団から這い出て、パレットを取り出して、小さな台所で洗った。そして、汚い部屋の中で、絵の具を探した。金はほとんど薬代に使っていたから、絵の具は残っていなかった。それでも画家はわずかな絵の具をやっと見つけて、それをパレットの上で練った。手が震えていた。咳が止まらなかった。それでも画家は、絵の具を練った。あの夕日の色を作りたいと思った。画家はだんだんと意識が薄れてきた。あっ。夕方ということは、薬を飲む時間だ。そう気づいた時には画家は倒れていた。そして、次に目覚めた時、夕日はとっくに沈んで、辺りは夜だった。一所懸命に練った絵の具は、暗闇に包まれて、何色かわからなかった。画家はパレットを床に放り出し、布団に潜った。そして、目を閉じた。その目は二度と開かれなかった。
その他
公開:26/03/02 15:59
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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六井象