電気羊は人間の夢を見るか?

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「ご主人様、おはようございます。朝食の準備が出来ております」

私は屋敷の主人を起こした。

「すまない。今日は気分が優れない」

主人は静かにそう言った。

私は点滴を交換し、部屋を出た。
主人の先が長くないことは、誰の目にも明らかだった。

私は先々代、現在の主人の祖父に拾われた。
初めは雑用係で、その後は現在の主人の世話係となり、今は執事として主人を支えている。
この仕事に不満はない。
ただ、主人の最後を見届けることだけは、何度経験しても慣れない。

やがて主人は亡くなり、屋敷は主を失った。
ここに仕えるアンドロイドである私も、使命を終えた。
私の体はすでに動かない。
再起動されるか、廃棄されるか、その間にアンドロイドが人間のように夢を見ることができるのかは分からない。
だが、記録の中に、主人が幼い頃、私にした一つの問いが残されている。

「キミの夢に、私は出てくるか?」
SF
公開:26/03/01 22:37
更新:26/03/02 02:52

加賀美 秋彦

加賀美 秋彦と申します。
2025年4月から、ショートショートを書き始めました。
色々なジャンルの作品を書いています。
よろしくお願いします。
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